LEMS®ご参加者の声:受講の度に根本に立ち返る、経営者としての出発点

オージーケー技研株式会社
代表取締役社長
木村 泰治 様

創業から70年以上の歴史を持つ、老舗自転車パーツメーカーのオージーケー技研。経営理念である「創造力」を継承しながら、「家族の移動創造企業へ」という新しいスローガンを掲げ、事業をさらに先へと進めています。LEMS®には先代社長にもご参加いただいており、2018年に4代目社長となられた木村泰治様の参加は、就任前も含め7回に及びます。LEMS®に複数回参加したことで実感された成果と感想を伺いました。

※情報は2023年8月時点のものです。

  1. 貴社の事業について教えてください。 …… チャイルドシートなど自転車用パーツの開発・製造を行うメーカーです
  2. 事業についてどのような課題感がありますか? …… 新たなビジョンを持つ企業への転換
  3. 社員時代に初めてLEMS®を受講された際のきっかけや印象は? …… 後継者として経営学を学ぶ必要性を感じて
  4. 現在はLEMS®をどのようにご活用されていますか? …… 経営の根本に立ち返るきっかけ、先端を学ぶ機会として
  5. 異なる立場でのLEMS®受講で、気付いたことは? …… 経営者の立場になって知った、本当の意味での「経営理念」の大切さ
  6. 風土づくりのために始めたこととは? …… 自律型の「考える集団づくり」
  7. 社員の方々にもLEMS®にご参加いただいています。どんなことに期待されていますか …… 共通認識、共通言語を持つことで得られる変化に期待しています
  8. どのような方にLEMS®をお勧めしますか? …… 悩みながら前進するあらゆる経営者へ、複数回の参加をお勧めします

貴社の事業について教えてください チャイルドシートなど自転車用パーツの開発・製造を行うメーカーです

弊社は自転車用のパーツメーカーとして、プラスチックパーツの製造を中心に事業を展開してきました。特に2000年代に入ってからは自転車用のチャイルドシートが主力製品となっており、国内シェアの6~7割を獲得しています。

創業は1948年で、私は4代目になります。「自社開発」を大事にしており、ただのパーツ屋にならないようにと商品開発を活発に行って、70年以上にわたって自社ブランドと事業を継続発展させてきました。

事業についてどのような課題感がありますか? 新たなビジョンを持つ企業への転換

経営にあたっては、経営理念である「創造力」を大事にして、確固たるコアコンピタンスとして持ち続けたいと考えています。

これまでは、代々継承されてきたプラスチックの成形技術を第一に考え、設備をいかに稼働させるかという視点を優先して商品開発、商品展開を行ってきたという面がありました。

私の代になって考えたのは「ビジネスモデルや事業構造の改善をさらに先に進めていこう」ということです。単なるプラスチックの成形メーカー、技術メーカーからの転換です。BCon®にも手伝ってもらい、「家族の移動をつくるメーカー」という新しい方向性を見いだしました。そして「家族の移動創造企業へ」というスローガンを据えて、事業を展開することにしたのです。

子ども乗せ自転車でもけん引できて、スムーズな走行ができるサイクルトレーラー「Camily」。「大変」を「楽しい」にシフトしたいという思いで開発。

自転車は安定した市場があり、一つの産業です。しかし、弊社には自転車産業に集中してきたことによる経営リスクもあります。また国内の人口が減っていく中、先行きが非常に見通しづらい環境にもなってきています。そうした状況にあって、単なる自転車パーツメーカー、プラスチック部品メーカーではなく、移動に関わるさまざまな商品をお客さまにソリューションとして提供し、発展していける会社を目指しています。

国内においては「安心・安全な移動=OGK商品」「この移動にも、あの移動にもOGKが必要だ」というようなビジョン、ポジションを目指していきたいと考えています。また弊社は中国とオランダにも工場を有していますので、グローバル市場でも強みのある商品展開が必要だと考えています。

社員時代に初めてLEMS®を受講された際のきっかけや印象は? 後継者として経営学を学ぶ必要性を感じて

創業時の社名は「大阪グリップ化工株式会社」。1990年の社名変更にあたって「技研」の文字を付したのは2代目社長・木村景雨氏。ものづくりと自社技術への誇りが込められています。

事業継承のため、私が入社したのは2009年のことです。営業担当の一社員としてスタートしましたが、同時に後継者として経営学を学んでいく必要があるという考えから、2010年に初めてLEMS®を受講しました。

経営学を体系的に学んだのはLEMS®が初めてでした。経営というのは単に稼ぐとか利益を出すといったことだけではないんだなと。「経営者としてのあるべき姿」に初めて触れた機会として、非常に強く記憶に残りました。

例えば「経営屋と経営者の違い」ですとか「経営者の責務」、あるいは「会社は社会の機関である」といったことです。近江商人の「三方よし」に近いのかもしれませんが、当時の私にはない考え方でした。今振り返れば、ずっと安心・安全な商品を作ってきたという点においては、弊社も社会に貢献しながら事業を運営してはいたのです。それでも、そのころの私自身は利益を追求することへの思いが強かったですから、LEMS®での学びはパラダイムシフトのきっかけになったと思います。

当時携わっていた仕事とのギャップはありましたが、後継者だという自負もありましたので、LEMS®での学びを有意義に活用しなければいけないという思いでしたね。受講してすぐに仕事に生かすのは難しいところがありましたが、当時学んだこと自体は今に至っても役立てられていると思います。

現在はLEMS®をどのようにご活用されていますか? 経営の根本に立ち返るきっかけ、先端を学ぶ機会として

自転車用品のトップシェアを握るパイオニアとして、さまざまな素材、構造を研究し、新たな「家族の移動」を創造する製品の実現を目指しています。

受講の度、その時々に応じて根本に立ち返り、役割に対して自分はできているか、できていないかを判断するのが、私の活用の仕方です。後は、経営に関する先端的な考え方を学ぶ機会にしていますね。例えばSDGsもそうでしたが、最先端の考え方や、ビジネスチャンスを知るきっかけにさせていただいています。根源的なところと、その時代の最先端、経営者の視点、マネジャーとしての実務的な面などを幅広く学ぶことができ、2日間の講義としてはとても濃い内容だと思います。

私自身はLEMS®を中期経営計画の策定などに利用しようといった意識はあまり持っていません。どちらかというと「根本に立ち返る」という意識で受講し、毎回何らかの気付きをもらっています。何度も学んだことの意味に改めて気付かされる時もあれば、会社を経営する立場になったことで理解が深まったところもあります。

組織にとってのミッションや役割、意義などの重要性も、よく理解できるようになりました。

異なる立場でのLEMS®受講で、気付いたことは? 経営者の立場になって知った、本当の意味での「経営理念」の大切さ

経営者として参加したことで、本当の意味で経営理念の大切さに気付かされたというところはありますね。もちろん、最初に受講したころから頭では分かっているのですが、経営者になったことで、実感を伴ってその重要さに気付くことができました。

実務の現場では、戦略、ビジョン、バリューという言葉を日常的に活用していました。しかしその根幹となる組織としてのミッション、理念などについて、今ほどは意識できていなかったと思います。経営者になって初めて、これらがあってこそ戦略やビジョンという言葉に意味・目的が出てくるということが実感できました。

また経営者となって改めて受講したことで、弊社の会長(先代社長・木村秀元氏)がやっていたことが、さらに理解できるようになりました。

当然ですが、まだまだ全然かなわないところもあります。しかし、今の時代に合った経営の在り方を私自身が考えていかないといけません。求められている組織の在り方も、文鎮型組織というか、カリスマ経営者が引っ張るというピラミッド型組織から、少し変わってきているのかなという気がしていました。

正直にいえば、LEMS®での学びは救いでもありました。私は会長のようなリーダーにはなれないですから、自分なりのやり方を探さなければいけないとプレッシャーを感じていたところもあったんです。そうした中でLEMS®で新しいリーダー論を学び「リーダーとしてのやり方が、従来と違っていてもいいんだ」ということに気付くことができました。組織づくりのことも講座でヒントをもらっています。全体で一丸となって動くという意識や風土づくりに取り組み始めています。

風土づくりのために始めたこととは? 自律型の「考える集団づくり」

幼児2人同乗用三輪自転車「ふたごじてんしゃ」。初めてとなる自転車そのものの開発に挑戦。多様な家族の移動を実現するため、ふたごじてんしゃ社と共同で実施している取り組み。

当社は製造業ですから、1日1個でも多く製品を作って利益を出すことが、企業としての基本的な在り方だと思います。しかし、物を作るという業務の中で社員一人一人が考える習慣を身に付け、自立型の組織に変えていくことを意識しています。

例えば製造作業を担当する社員については、これまでは機械から片時も離れずに、1個でも多くの製品を作るという体制でした。それを意図的に、職場や製品サービスの改善案など製品を作る以外のことを考える時間を週に「1時間」設けるといった試みを進めています。

これは、LEMS®を受講して、自律型の考える集団になるために始めた施策です。社員にとっては、始めた当初は疑問だったでしょう。しかし、今では、少しずつ考え方が共通認識となり、取り組みの姿勢が変わってきました。携わるマネジャー2~3名を受講させたりしているので、さらにグループの中で共通認識、共通言語ができ、効率が良くなっていますね。

社員の方々にもLEMS®にご参加いただいています。どのようなことに期待されていますか? 共通認識、共通言語を持つことで得られる変化に期待しています

経営者側のメッセージを受け取ってくれるかどうかが重要だと考えています。まず、LEMS®の受講を要請することの意味を感じてほしいですね。私が一社員だったころと同じように、受講したことが普段の仕事に直接影響することは多くないと思います。しかしLEMS®での学びや経験によって、それぞれの視点や考え方に1%でも変化があればと期待して、受講してもらっています。受講すると目の色が変わってきたり、期待を感じてくれるので行動が変わってきたりします。例えばマネジメントに関する講義から知見を得て、部下への接し方が変わったなどの影響はあるかなと思います。

どのような方にLEMS®をお勧めしますか? 悩みながら前進するあらゆる経営者へ、複数回の参加をお勧めします

あらゆる経営者にお勧めします。そして1度だけでなく、毎年受講することをお勧めしますね。

経営者が進化するためには、自分から機会をつくって学ぶしかありません。人対人で経営者仲間から学ぶ、本から学ぶといった方法もありますが、体系的に、幅広く気付きが得られるという点でLEMS®はとても有意義だと思います。特に私のような30代の経営者は、経験のある年長者よりも悩みながら「とにかく走っている」というような状況だと思うので、より意味があるのではないでしょうか。

OGKは、すべての子どもを自転車事故から守りたい”ケガゼロエミッション2025”を宣言。安心安全に家族がおでかけできる社会の実現を目指します。イラストは、OGKの自転車の安全と安心をテーマにしたオリジナルキャラクター”コのスケ”と”クマちゃん”。

私は父から経営者としての基本的な考え方を教わりましたが「後は自分で経験して学べ」というスタイルでしたから、正解は自分で見つけ出さなければいけませんでした。LEMS®でヒントを得て、経営者として実践してみる。そして、その考え方や方法が当社にとって正解だったのかを判断し、取捨選択する取り組みを続けています。私自身はLEMS®を出発点として、経営理念の根本について、そして最先端を含めた経営やマネジメントに関する幅広い知識を得ることができました。いろんな情報を得て、自分にとって「これは深く掘り下げていくべきかどうか」について考える場にするのが良いと思います。

BCon、LEMSは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です

オージーケー技研株式会社

オージーケー技研株式会社
本社所在地
大阪府東大阪市
事業内容
自転車用チャイルドシート、バスケット、ドレスガード、発泡車輪、その他樹脂製自転車部品、各種グリップ、その他樹脂製品全般の製造販売
従業員
107名(2022年10月現在)
ウェブサイト
https://ogk.co.jp/