経営戦略を実現するための人事戦略とは
企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
経営戦略と連動した人事戦略を策定するためには、自社が置かれている経営環境や社内の状況などを押さえておく必要があります。
本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
不確実なことに満ちている世界で、企業のリーダー、市民、政治家、医療従事者など皆が動揺しながらも、なんとか踏ん張ろうと努力しています。
BCon®では多様な人たちと共に、それぞれの専門性や強みを活かし、力を合わせることで、人類が対処すべき難局を乗り越えていきたいと願っています。
そこで、特に私たちと関わりのある研究者や専門家からその知恵を、そしてエールを送って頂きました。
日本および世界の人々を勇気づける、または活動を方向付ける助けになるメッセージを発信していきます。
こんにちは!イギリスのロンドンからご挨拶を送ります。非常に困難な試練のときではありますが、皆さんがお元気であることを願っています。私たちの良き友人でありパートナーでもあるBCon®から、日本の方々へ希望と励ましの言葉を送り、またこのようなときビジネスはどうしたらよいと思うかを話す機会をいただき、今皆さんにお話ししています。
どんなビジネスも、こんなとき真っ先に考えるのは、明らかに、働く人々の健康(ウェル・ビーイング)と、組織や会社が生き延びることでしょう。Future-Fit ベンチマークの主なねらいは、人々が成功・繁栄(フローリッシュ)することです。損益分岐ゴールといわれるものの5つは、働く人々の健康に焦点を当てています。それはちゃんとした生活のできる賃金を払うことで、心理的、身体的、感情的な健康を維持し続けることを目的としています。近年、こういった問題を重要視する傾向は高まってはいましたが、ことに今のような、人々が大きなストレスを感じている緊急・非常事態においては、日ごろ以上に重要だと言えるでしょう。ですから会社は、今まだ社員がオフィスや工場へ出勤し続けていようと、在宅勤務をしていようと、彼らがこの状況下で安全に、そして健康に、業務を行う上で必要なすべて――環境や機材や教育やサポートを与えなければなりません。彼らが心理面、身体面でともに良好であることができるようにし、それを確認しなければならないのです。
事業活動については、私は二つの観点から考えたいと思います。一つは、緊急時の救援隊としての活動、もう一つは、災害からの持続的な復興活動です。
この緊急時に救援隊として機能できている組織は、今直面している状況に即時に適応しています。例えば、ほんの数週間前までレーシングカーをつくっていたF1(フォーミュラ・ワン)チームは、人工呼吸器を製造して病院に供給しています。数々のファッション・アパレル会社が、第一線で医療に従事している人たちのために、医療用ガウンやマスクを供給しはじめました。このように短い時間で、このように大きな活動の切り替えを行うことは、あなたの会社にできることでしょうか?
そして、事態が収束に向かおうとも、今後、復興の努力はずっと続いていきます。その中で、あなたの会社はどんな役割を果たしていくのでしょうか?
社会と経済を可能な限りすばやく、可能な限り安全に立て直そうとしていく中で、私たちはどうやって自らの使命を果たし、自らの存在意義を証明していくのか……そして、それを、新たに変わった世の中の変化に適応しながら、これまで以上に力強く推し進めていけるのでしょうか?
私たちが再建し、復興していくとき、私たちの目の前には二つの選択肢があらわれます。一つは、以前の、平常時のビジネスにあわてて逆戻りすること。もう一つは、「より良い」ものを新たに創りあげることです。もちろん、過去の平常時のビジネスは魅力的です。なにしろ、それは私たちにとってなじみ深く、私たちがよく知るものだからです。でも、そのビジネスを長年辿り続けた末に、今、私たちがこのような未曾有の危機に直面する地点に立っているのだということを、忘れてはいけません。世界中で未だおさまらない環境破壊、社会の中で増え続けている不正義、そして不平等を目にするとき、私たちは心の奥底では気づいているのです。このままのやり方を続ければ、将来このような危機や災害がまた起こるであろうことを。そしてそれらは、今まで以上の頻度と、過酷さで私たちに襲いかかるであろうことを。
私たちは、本当に、そのような自己破壊と破滅の道をたどりたいのでしょうか?そうではなく、「より良い」ものを建て直すという選択肢があるのではないでしょうか?
環境を破壊するのでなく、回復し再生し、社会の不正義や不平等をなくすことはできないのでしょうか?
そのためには、私たちみんなが、ビジネスの成功や価値の創造といったことに対する、考え方を問い直し、改めなければなりません。財務的、金銭的な価値にとらわれるのではなく、生態系全体の価値、つまり「システムバリュー」を考えなければなりません。組織や会社が、地球、社会のために価値を創りだすこと。もちろん株主やステークホルダーたちにも価値を提供しなければならないのは変わりません。しかしあくまでも、地球や社会に利益を生むからこそ彼らに利益をもたらせるのであって、地球や社会の犠牲のもとに利益を生んではいけないのです。
私たちは、「責任」あり「再生」する「弾力性」のあるビジネスを創造しなければなりません。
「責任」ある、というのは、自社のビジネスが環境や社会に与えるネガティブな影響から目を背けずこれを理解し、できるだけ早くこれらを減少させ、取り除く方法を模索し実行することを言います。「再生」する、というのは、地球環境と社会をより強く健康なものにするような製品やサービスを提供することを言います。そして、「弾力性」がある、というのは、これによって、将来どんな「嵐」に巻き込まれようと、私たちが弾力性としなやかな回復力を持ってこれに対応していけるような、そんな組織、会社になっていくことを言います。
Future-Fitは、組織や企業がともに共同体(コミュニティ)の一員として、互いに支えあい、協働しながらこのような困難な課題に立ち向かい、そしてともに繁栄していくことを目指しています。
目の前にある二つの選択肢を見たとき、どちらの道を選びたいか、私にはわかっています。そして、このメッセージを聞いた皆さんも、私に賛同し、より賢明な選択をしてくださることを願っています。
これらの選択の間で迷ったときには、私の良き友人であるBCon®が、皆さんのご相談にのり、正しい決断をしたり、新たな道を切り開いていくお手伝いをさせて頂くと信じています。もし私にお手伝いできることがありましたら、私あてに質問を頂いてもかまいません。
皆さんと、皆さんの会社や社員の方々、そして皆さんの大切なご家族や友人の、ますますのご発展と健康をお祈りしています。
ありがとうございました。
マーティン・リッチ氏
Future-Fit Foundation共同創立者兼執行役員
サステイナブル投資のスペシャリスト。主な融資全般とインパクト・ファイナンスの両方で20年以上の経験を有する。
投資銀行業務からスタートし、仕組債およびデリバティブ製品の担当としてJP モルガン、HSBC、UBSに13年間勤務。その後、社会的インパクト投資に転じ、Social Finance社の営業担当役員を7年間務める。
これらの経験から、資産が地球や社会にどのようなインパクトをもたらしているのかを把握するための、世界共通のメカニズムが必要であることを実感。
そして、コーヒーを待つ行列に居合わせた知らない人とそんなアイデアを話し合う日々が、実入りのいい仕事を辞めてソリューション創造のための非営利団体を共同設立するという、予想外の展開を招くことを知った。
Access Foundation基金投資委員会の社外取締役兼議長、Panahpur、Social Investment Business、Christian Aidの投資/諮問委員会のメンバーでもあり、G7社会投資タスクフォースの資産配分作業部会の元メンバーでもある。
学歴:ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで工学修士を2つ修得
BConは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です
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企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
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本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
ビジネスを取り巻く環境が、これまで以上に急速に、複雑に変化する時代を迎えています。将来を担う「次世代リーダー」(経営幹部候補者)に求められる力も変化しているのではないでしょうか。
これからのリーダーとなる人材が身につけるべき能力として注目しておきたいのが「ラーニングアジリティ」です。激しい変化や経験のない状況に対して、素早く、柔軟に適応し組織を導くリーダーには欠かすことのできない力といえます。
このコラムでは、「ラーニングアジリティ」について解説し、向上するためのポイントをご紹介します。
ビジネスにおけるエンゲージメントとは、従業員と企業の関係性を表す言葉であり、エンゲージメントが高いということは、従業員と企業が結束し互いに高め合える対等な関係、状態のことを指します。
エンゲージメントを高めることは、従業員にとっても企業にとっても双方に大きなメリットがあり、今後永続する企業を目指す上で欠かすことのできない課題となっています。