経営戦略を実現するための人事戦略とは
企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
経営戦略と連動した人事戦略を策定するためには、自社が置かれている経営環境や社内の状況などを押さえておく必要があります。
本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
毎年、5月にはATDという人材育成に関する世界中の専門家が集まるカンファレンスがあります。2020年はコロナの感染拡大防止のため、急遽6月第1週に「バーチャルカンファレンス」の形で実施されました。
2020年のATDでは、オンラインでのトレーニングやワークショップの進め方についてのセッションが多く、これまで以上に充実した内容でした。
今後ここで学習されたナレッジが実践に活かされ、オンラインでより快適で価値のある学びの場が提供されていくことと思います。これから数回にわたり、ATD Virtual Conferenceで学んだ内容をお届けしていきます。
緊急事態宣言が発令されて以降、BCon®ではテレワークが定着し、様々な工夫をしながら出来る限り社内のコラボレーションが阻まれないよう取り組みをしているところです。皆様の組織ではいかがでしょうか?
変化が速い今の時代においては、これまで以上に迅速かつ頻繁にデジタルでコラボレーションを行う必要があります。
しかし、私たちはデジタル上で繋がっているように感じているかもしれませんが、本当に繋がることができているのでしょうか?
対面でのコミュニケーションから、eメール、電話、オンライン会議システムなど、様々な媒体でのデジタルコミュニケーションにかわったことで、混乱やフラストレーションが起こったりしていませんか?
本当の意味で人とつながり、コラボレーションをしていくためには、自分のコミュニケーションスタイルと、それがどのようなシグナルを発信しているのかを理解しておく必要がありそうです。
キーワードの1つに「オンライン脱抑制効果」という言葉が出てきました。
対面の場面では存在している社会的抑止・抑制が、インターネットで他者と対話する場合に緩んでしまうそうです。普通であれば、しないこと、言わないことをネットでは言ったり、して良いと思ってしまう現象が起こるのです。
オンラインのコミュニケーションでは語調が伝わりにくく、自由に意見が言える反面、無礼に聞こえたりすることがあります。より議論的に攻撃的になりやすく、対話になりにくいともいわれます。
ミーティングが終わるとすぐに次に向かってしまって人と人とのコネクションが生まれにくい側面もあります。
対面との違いがコラボレーション力を低下させる原因となるので気を付けなくてはいけません。
カンファレンス2日目、Erica Dhawanさんによる“デジタル・ボディランゲージ(以下DBL)”というテーマのキーノートでは、オンライン脱抑制効果を乗り越えるための示唆に富んだ内容が語られました。
DBLとはデジタル上のコミュニケーションにおける言葉の裏にある「意図」や「感情」など、字面では分からない非言語のコミュニケーションのことです。
例えば、eメールで伝えるのか、チャットで伝えるのかによっても受け手は受け取るメッセージが違います。
メールやチャットでも絵文字を使ったり、スタンプを使ったりするのか、しないのかでも印象は違います。
これを戦略的に行うことで、オンラインで相手に受け取ってもらいやすいコミュニケーションを実現することが可能になります。
Ericaさんの調査によるとデジタル・コミュニケーションにおいては…
– イノベーション行動は90%減る
– 相互信頼は80%低下
– それぞれの役割やゴールの明確さは75%落ちる
– 組織へのコミットメントや満足度は半分になる
という結果だったそうです。これはなんとか改善したいと思いますね。
オンラインのコミュニケーションで、より良い信頼関係を構築したり、協働を行う
にはどのような点に気をつけるべきか、Ericaさんは5つの原則でまとめられています。
「簡潔」であることと「明確」であることは違います。
例えば件名で具体的なことが分からないメールなどが挙げられます。
「打ち合わせ」「会議」しか書かれていないメールが届いたらどんな気持ちになりますか?
ちょっとドキッとしませんか?
「何だろう?」と悩み、これがストレスのもととなります。
件名で何のための会議なのかが分かるように、明確にしておく必要があります。
同じ言葉でも、書き方によって受け取る印象は異なり、誤解を与える可能性もあります。
例えば、”OKAY!!”と伝えると、怒鳴っているようにも、興奮しているように取れます。
シンプルな”ok.”も、肯定的に受け取れもしますが、簡単すぎるがゆえに「怒らせたかも・・」と思う人もいます。
絵文字やスタンプを含めた言葉の使い方について、チームのルールのようなものを作っておくと受け取り方の行き違いを減らすことができます。
こちらからメールやメッセージを送ると早く返事が来ないかな・・・と気になります。
ですが、焦って相手を急かしたりはしない事です。
相手は自分のペースで返信をしてきます。
返事が欲しいからと、eメールの後に、チャットでリマインド、さらに電話でも呼びかけ・・・などすると、相手は驚きますし、気がめいります。そうすると次からその人とのコミュニケーションが少し怖くなってしまうかもしれません。
相手からのコミュニケーションに不必要に否定的な解釈をしてしまうことはありませんか?
何か自分が責められているように、または、相手が関心を持っていないように感じられても、実は相手にも余裕がなくて、丁寧に書かれていないだけかもしれません。
何か相手との間にミスコミュニケーションが起きているかもしれない、こちらの意図が通じていないと感じたら、コミュニケーションのチャンネルを、eメールから電話へなどと変えてみた方が良いかもしれません。
自分にとって、それぞれのメンバーにとって心地よい通信手段が何であるのかを知っておきましょう。
eメールなのか電話なのか、もしくは顔が見えるオンライン会議システムなのかを理解し、それをチームの皆と共有しておくことです。
一度それが分かれば、オンライン会議で発言しにくい人にはチャットでアイディアを書いてもらうことができます。
先にメールで全員から意見を送ってもらい、オンライン会議の場では書かれていることについて対話をするなど工夫することができます。
それでも、言いたいことが発言できていない人がいると感じたら、オフラインでのフォローアップをすることもできるでしょう。
オンライン会議の場でも、メンバーの様子を注意深く観察して、そこで感じたことも大切にして臨機応変にコミュニケーション手段を変えていけるとよさそうです。
オンラインで信頼関係やコラボレーションを醸成するための4つの鍵も紹介されました。
個人の意見や思いを表現できる組織文化にしてゆくことが大切です。
オンラインでは思いや考え方が伝わりにくいので、対面の時よりもはっきりと伝えること、そして相手の思いを聞く時間をしっかりとること。そうすることで、お互いの人間性を尊重する文化ができます。
相手を認知する行動、例えば頷きや、相槌などもややオーバーリアクション気味なくらいでちょうど良いとのことです。
急いで返信するのではなく、メールを打つ前に少し時間をとりましょう。
自分の意図が正しく伝わるためにはどういった内容がよいのかをしっかり考えます。
いつまでに返事が欲しいのかは明確になっていますか?
メールの長さは適切ですか?
相手との関係性を考えると、それは正しいチャネルでのコミュニケーションですか?
短い内容であればeメールではなくチャットでいいかもしれません。
複雑であればメールよりも電話を選んだ方がいいかもしれません。
添付ファイルの方がいいのか、本文に書いたほうがいいのか、もしくは動画の方が伝わりやすいか?。何度かお会いしたことがある人であれば簡潔なメールでもよいけれど、会った事のない人でしたら、最初はオンライン会議システムで顔合わせた方がいいでしょう。
できれば、どのようなチャネルはどんな時に使うのかのルールを決めておくと混乱は避けられます。
C.C.にはどう言う意味があるのか、どんな時に返信を期待されているのか。
全員へ返信は本当に必要なのか、必要だとしたらそこにどんな意図があるからなのか。
相手が余計な不安を抱かないように、正しい相手に正しいタイミングで正しいメッセージを伝える事も大切です。
変化が激しくなっている今は、週一回の1時間のミーティングよりも、毎日10分のチェックインをした方が業務の優先順位の組み替えがスムーズに行きます。また、お互いの状況をリアルタイムで把握することができるので、お互いに助け合うことができるようになります。
仕事の納期は、意味のある設定をしましょう。明確な納期を伝えることで皆が自分で自分の仕事の優先順位を判断できるようになります。
皆が信頼しあって協働することが可能となるやり方でコミュニケーションしましょう。
以上の3つの鍵を実践しながら、さらにメンバーを全面的に信頼しましょう。
防衛的になってしまう人が出ないよう、自分自身の脆さを見せることも、相手に安心感を与えます。
あるいは、ちょっと息抜きできるような雑談の時間や雰囲気を作ることで心理的な安全を皆が感じることができます。
皆さんも出来るところから実践してみては如何でしょうか?
BConは、株式会社ビジネスコンサルタントの登録商標です
組織開発や人材開発の最新の情報やソリューションのご案内をお送りしています。
BCon®が提供する人材育成関連サービスについて、こちらからお問い合わせください。
お問い合わせ企業の成長と成功の鍵は、優れた経営戦略にあります。しかし、その戦略を実現するためには、人事戦略との緊密な連携を欠かすことはできません。
経営戦略と連動した人事戦略を策定するためには、自社が置かれている経営環境や社内の状況などを押さえておく必要があります。
本コラムでは、変化が急激な時代において、人事部門が経営層から期待される役割と、経営戦略を達成するために人事戦略を策定するメリットや、押さえておくべきポイントをご紹介します。
ビジネスを取り巻く環境が、これまで以上に急速に、複雑に変化する時代を迎えています。将来を担う「次世代リーダー」(経営幹部候補者)に求められる力も変化しているのではないでしょうか。
これからのリーダーとなる人材が身につけるべき能力として注目しておきたいのが「ラーニングアジリティ」です。激しい変化や経験のない状況に対して、素早く、柔軟に適応し組織を導くリーダーには欠かすことのできない力といえます。
このコラムでは、「ラーニングアジリティ」について解説し、向上するためのポイントをご紹介します。
ビジネスにおけるエンゲージメントとは、従業員と企業の関係性を表す言葉であり、エンゲージメントが高いということは、従業員と企業が結束し互いに高め合える対等な関係、状態のことを指します。
エンゲージメントを高めることは、従業員にとっても企業にとっても双方に大きなメリットがあり、今後永続する企業を目指す上で欠かすことのできない課題となっています。